屋上緑化・壁面緑化とは
屋上緑化や壁面緑化は、建物の屋根や外壁を植物で覆わせる手法です。土や植物の特性によって高い断熱効果を発揮することから、おもに温暖化防止や都市のヒートアイランド化の抑制など環境保護の目的で急速に広まっています。
屋上緑化・壁面緑化のメリット
屋上や壁面を緑化することで直射日光や照り返しを防ぐことができます。それによって建物全体の断熱効果が高まり、エアコンの使用を最小限に抑えられるため省エネにつながることがメリットとしてよく知られています。
1.高い断熱効果
屋上を緑化した場合の土の下の表面温度は、通常の屋上と比べると夏と冬に顕著な差が生じます。一般の屋上では夏の温度が約60℃まで達するのに対し、緑化した屋上ではその半分の30℃程度で抑えられることが分かっています。土壌そのものに断熱効果があるのはもちろんですが、土に含まれる水分の蒸発や、植物がもたらす日陰などが相まって断熱効果を高めていると考えられています。
2.室内が涼しくなる
屋上緑化を行った建物では、上の階ほど室内が涼しくなるといわれています。さらに壁面を緑化したり、暖簾などで日光を遮断する工夫を施せば、夏でもエアコンをほとんど使わずに過ごすことも可能なようです。エアコンの排出熱が極力抑えられるため、建物周辺の外気温も下がってさらに涼しくなるといった相乗効果も期待できます。これによって節電にも大きなメリットがありますし、温暖化防止や環境保護にもつながります。
3.美観の向上
屋上の庭園化などで美観の維持・向上も図れるほか、菜園を作って収穫を楽しめるのも屋上緑化の魅力のひとつです。
建物の積載荷重に注意!
屋上緑化を施す場合に注意しなければならないポイントの一つに、「積載荷重」があります。建物にはそれぞれ法律で定められた荷重制限があり、制限を越えての新たな積載は認められていません。中には荷重を多めに設定している建物もありますので、前もって設計士などに調べてもらってからプランを練るようにしましょう。また、新築の建物で屋上緑化などを考える場合は、あらかじめ荷重設定を増やしておくことをおすすめします。
建築基準法で定められた屋上やバルコニーの積載荷重
建物の区分 | 床計算用 (単位:kgf/m2) | 大梁・柱・基礎用 (単位:kgf/m2) | 地震力用 (単位:kgf/m2) |
住宅、事務所など | 180 | 130 | 60 |
学校、百貨店など | 300 | 240 | 130 |
軽量土壌の採用で積載荷重を小さくする
建物の積載荷重を極力小さくするための方法として、屋上やバルコニーの緑化に人工の軽量土壌を用いるという選択肢もあります。その際、比重が0.6~0.8ほどで、排水性や持続性に優れた軽量土壌の使用がポイントです。
屋上庭園での植栽のポイント
屋上庭園を造る際、植栽に関してもいくつか注意しておきたいポイントがあります。まず、屋上に木を植える場合は落ち葉などで近隣に迷惑をかけないよう、なるべく外側に植えることは避けるようにしましょう。また、樹木によっては成長速度が早く、屋上に植えるには適さない種類もあります。そのような植物を植えてしまうと剪定の手間が増えることになってしまいますので、あらかじめ専門家に相談した上で植栽を行うことをおすすめします。
屋上緑化の助成金制度
緑地の少ない都市部では街の至る所でアスファルト化が進み、真夏のヒートアイランド現象などが深刻な問題として取り上げられてきました。近年になって屋上緑化がもたらす気温上昇の抑制や省エネ効果、都市の緑地拡大や景観美化の向上などには行政も注目し、屋上緑化に対する助成金制度を設ける自治体も増えてきました。お住まいの地域の自治体が助成金制度を実施しているか、前もって確認しておくとよいでしょう。