サイディングとは
サイディングは、セメントなどの非金属原料を高熱処理して形成した建築外壁材です。木造戸建住宅の外壁材料は、従来はモルタルを下地にしてその上から塗装を施した工法が一般的でしたが、サイディングを使用した外壁は、モルタル工法に比べて手間がかからず工期も短いことから、近年急速に普及し、現在では住宅の外壁はこのサイディングが主流となっています。尚、モルタル外壁を「湿式工法」、サイディング外壁を「乾式工法」などと呼ぶ場合もあります。
サイディングの種類
サイディングには代表的な3種類があります。
種類 | 特徴 | |
金属系サイディング外壁 | 表面にはスチールなどで施し裏には断熱材を入れており腐食しにくい性質をもった丈夫なサイディング外壁 | |
窯業系サイディング外壁 | 耐久性を高めるためにセメントに木片などを混ぜ、プレス成形で板状にしたサイディングで、工場塗装のものと現場塗装のものがあります。 | |
木質系サイディング外壁 | 天然木などを塗装したサイディングで木の呼吸を遮らないよう表面を炭化処理したもの |
サイディングを塗装という観点から分類すると、無塗装板と塗装板に分けることが出来ます。無塗装板は、現場で塗装するためのサイディングで、モルタル湿式工法の下地の代替として登場した製品と考えられます。塗装板は、カラーやデザインなどが工場で塗装されてから製品化されているため、現場で塗装を行う必要がありません。最近では無塗装サイディング+現場塗装の外壁も見られることがありますが、比率的には工場で塗装された後に出荷される塗装板の方が圧倒的に多くなっています。
サイディングの塗り替え時期
サイディングの塗り替えは、通常は新築から10年目とされていますが、製品によっては7、8年で塗り替えしたほうが良い場合もあります。また、セラミック塗装を施した高価なサイディングの場合は、塗膜が長期間持つものもありますので、信頼出来る塗装業者に診断してもらった上で塗り替えのタイミングを判断した方が良いでしょう。サイディングの塗り替えに関しては、工場で塗装されているサイディング外壁の場合、サイディングのグレードによって大きな差が出て来るのです。
サイディングそのものの塗膜はしっかりしていても、サイディングの継ぎ目部分のコーキングは、数年で切れたり痩せたりしてきます。そのまま放置しておくと雨水が躯体に進入して、構造体を劣化させる原因になりますので、3~5年の短いサイクルで点検を行い、打ち直しを検討した方が良いでしょう。また、サイディングの塗り替えを行う際にも、必要に応じてコーキングの増し打ち、打ち直しを行うことをお勧めします。
サイディング塗り替えの注意点
サイディングの塗装工事は、高圧洗浄による壁面の洗浄から始まり、下地調整、そして下塗り・中塗り・上塗りという工程で進みます。それ以外に特殊な工程が挟まれることはありません。ただ、ここで注意しなければならない点は、柄印刷が施されたサイディングやタイル調サイディングの場合、塗り替えを行うと、本来の柄が消えて無地になってしまうということです。そこで、本来の柄を生かすには、サイディングの柄を生かすための透明な塗膜を作る塗料がありますので、事前に塗装業者としっかり打ち合わせして工事内容を決めるようにして下さい。ただし、透明の塗装を行う場合は、ベースとなるサイディングの色あせなどが進行すると、本来の柄を生かす意味がなくなってしまいますので、早めの塗り替えが欠かせません。
また、タイル調サイディングの塗り替えの場合、費用は少し高くなりますが、タイル部分と目地部分を色分けして塗ることも可能です。ただし、最初に指定しておかないと、目地もタイルも一色で塗装することになりますので、事前に業者と打ち合わせして塗り方を決めるようにしましょう。