修繕資金の計画
マンションの大規模改修工事は、平均では12年に一度実施されるというデータがあります。そのため、分譲マンションの多くは事前に長期修繕計画を立て、住民から修繕積立金を徴収しています。しかし、マンションの劣化具合やスピードは建物によって様々です。同じ築年数であっても、自然条件などの影響を受けやすい環境にあるマンションは、それだけ劣化も早くなってしまいます。劣化状態が進行していればいるほど修繕費用も高くなり、積立金の不足によって改修工事に手が回らないというケースも少なくありません。ですから、少なくとも30年くらい先まで見通して修繕計画を策定しておくことが重要です。とは言え、住民の理解が得られなければ資金不足に陥ってしまいますので、住民への配慮や、ほかの方法で資金を調達することも視野に入れておく必要があります。
長期修繕計画の見直し
いざと言うときに改修工事の資金が不足することがないようにするためには、長期修繕計画を見直すことが大切です。修繕にかかる金額がどのくらいになるのかをあらかじめ想定し、それに合わせた修繕計画を策定します。その際、積立金を一度に引き上げると住民からの同意が得られにくくなってしまいますので、数年おきなど段階的な引き上げを行った方が良いでしょう。また、住民の同意を得るために、理事会や総会などで詳しく説明し、よく話し合った上で理解を求めることが重要です。修繕計画の見直しによって積立金の引き上げ額がかなり大きくなってしまった場合は、負担一時金として収めてもらう方法も検討する必要が出てきます。もちろん、住民には臨時的に負担してもらう形になりますので、支払いの期日に余裕を持たせるといった配慮を怠ってはいけません。
金融機関からの借り入れ
積立金だけでは資金不足で改修工事が行えないという場合は、金融機関からの借り入れも一つの方法です。一般的には借入先として銀行や信用金庫に融資を相談するケースが多いようですが、借り入れの基準が厳しく、担保や保証人なども必要な上、金利も高くなっています。また、マンションの管理組合を融資の対象外としているところも多いようです。そこで、このような場合に役立つのが、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」や、クレジット会社などです。もちろん、様々な条件や審査はありますが、担保や保証人も不要で、管理組合でも融資を受けやすいというメリットがあります。