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耐震性能と指標について

耐震診断によって建物の耐震性能を計算するためには指標というものが必要になります。この指標は「Is値」「Iso値」「q値」で表されるもので、専門家による耐震診断では必ずこの指標に基いて耐震性能を計測しています。

構造耐震指標(Is値)

建物が構造的に地震にどれだけの強さを持っているかを測るための指標で、耐震性能の高さは数値の大きさに比例します。この構造耐震指標の計算には「Is=Eo×SD×T」という公式が用いられ、Eoは壁や柱の強度などを表し、SDは耐震構造物の配置およびバランス、そしてTは経年による劣化状態を表しています。1次診断でもIs値を測ることは出来ますが、実際の判定には2次診断で算出されたIs値が用いられます。

国土交通省の告示では、Is値と耐震性の関係を以下のように定めています。

Is値耐震性との関係
0.6以上地震の振動と衝撃に対して倒壊、もしくは崩壊する危険性が低い
0.3以上~0.6未満
地震の振動と衝撃に対して倒壊、もしくは崩壊する危険性がある
0.3未満
地震の振動と衝撃に対して倒壊、もしくは崩壊する危険性が高い

上記では0.6以上を基準として定めていますが、この数値はより大きいことが理想且つ目標となっており、公立の小中学校に対して0.75以上の数値を義務付けている自治体もあります。

目標耐震構造指標(Iso値)

耐震においては、地域や地盤、建造物の用途などによって必要な耐震性能が変わってきます。たとえば、平地と山間部では地盤も大きく違いますし、公共の建物などでは一般の住宅以上に高い耐震性能が求められるということです。この指標のことを「目標耐震構造指標」と呼び、Iso値で表します。この指標の算出には「Iso=Es×Z×G×U」という公式が用いられます。Zは地域指標、Gは地盤指標、Uが用途指標を表します。Esには一次診断の場合は0.8、二次診断以降では0.6の数値を入れて計算します。

保有水平耐力に係る指標(q値)

保有水平耐力に係る指標とは、水平方面の地震力に対してどの程度の耐性があるのかを測る指標のことで、q値で表します。仮にIs値が基準を満たしている場合でも、q値が基準に達していない場合は、耐震基準を満たさない建物として判定されることになります。

国土交通省の告示では、q値と耐震性の関係を以下のように定めています。

q値耐震性との関係
1.0以上
地震の振動と衝撃に対して倒壊、もしくは崩壊する危険性が低い
0.5以上~1.0未満
地震の振動と衝撃に対して倒壊、もしくは崩壊する危険性がある
0.5未満
地震の振動と衝撃に対して倒壊、もしくは崩壊する危険性が高い

耐震等級について

耐震性能を表す指標には難しい数値や用語が多く専門性が高すぎるため、一般の方にはなかなか理解出来ないものがあると思います。国民にとって理解しにくいものを広めようとしても、返って関心が薄れ逆効果になってしまうおそれがあります。そこで、国では2000年に「住宅品質確保促進法(品確法)」を制定し、その中で「耐震等級」という基準を定めました。この耐震等級は、建物の耐震性を3段階で示したもので、一般の方でも建物の耐震性能が分かりやすいように表されています。

耐震等級は以下の3段階で表されています。

耐震等級耐震性との関係
等級1数百年に一度発生する大地震(震度6~震度7クラス)の地震力に対して倒壊・崩壊せず、数十年に一度発生する地震(震度5強クラス)の地震力に対して損傷しない
等級2
上記の地震力の1.25倍の地震に対抗出来る
等級3
上記の地震力の1.5倍の地震に対抗出来る

上記では、等級が大きくなるほど耐震性が高くなっています。つまり、等級1が現行の新耐震基準を最低限満たしたものとなり、新しく建設する建築物については耐震等級1以上の設計をすることが求められます。しかし、耐震等級1の建物であっても、震度6クラスの地震では損傷する可能性があるということを認識しておかなければいけません。耐震等級1が現行の耐震基準を満たしているとは言っても、より確かな安全を確保するためには、少なくとも等級2以上の耐震性が望まれます。もちろん、等級1でも法的な基準はクリアしていますが、より地震に強い住まいを手に入れるために改修や補強工事を検討してみるのも一つの方法です。

Is値と耐震等級の対照表

Is値と耐震等級を比較対照したものが下記の表になります。

耐震等級
強度
Is値
等級1
新耐震基準と同等0.6に相当
等級2
新耐震基準×1.25
0.75に相当
等級3
新耐震基準×1.5
0.9に相当

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