防音工事の必要性
人々の暮らしが多様化し、都市機能も複雑で高度化した現代においては、そこから発生する様々な音がストレスやトラブルの原因となることが多くなっています。隣人やご近所、マンションやアパートなどの上下階、貯水槽、周辺環境など、私たちは常に音のトラブルとなり得る条件にさらされながら暮らしているのです。音に対する感覚は人によって違うため、自分は不快に感じない程度の音でも、他人にとっては不快に感じることもあるのです。もちろん、その逆の場合もありますし、音の種類によっても変わってくるでしょう。中には、音楽や生活音でさえ騒音と感じるような人もいるのです。
防音工事を検討する人の大半は、隣近所から苦情を受けたなど、事後的に防音対策を行おうとします。ですが、一旦トラブルが発生してしまうと、お互いに精神的負担を被ることになりますし、今後の付き合いも気まずいものになってしまいます。周囲に気を遣いながらの生活は、それだけで大きなストレスになります。このような音トラブルを未然に防ぎ、安心して趣味を楽しんだり日常の生活を営むためには、防音対策が重要なのです。
音の基準値について
環境省が定める音の基準値は、一般的な住宅街の場合(夜間:境界壁で40dB/A以下)となっています。しかし、マンションの場合はこの数値を定めることが出来ず、音に対する規制が取られていないのが現状です。あくまで目安となりますが、マンションの場合は、音を受ける側が35dB/A(時計のカチカチ音)以下に数値を設定するのが望ましいと考えられます。また、壁や床の遮音性能が40~45dB/Aであると仮定した場合、上下階や隣家が聞こえている音は40 dB/Aとなりますので、基準値よりさらに下げることが求められます。マンション住まいでピアノの購入を考えている方は、あらかじめ壁や床のコンクリートの厚さや遮音性能を確認しておくことが大切です。
防音対策で避けられないこと
どれだけ完璧な防音工事を施しても、一般の住宅において100%音を遮断することは不可能です。どんな建物にも換気口などが必ず備わっているわけですから、例えわずかな音だとしても外に漏れてしまいます。そのことを認識した上で、防音工事を考えていかなければいけません。