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部位別の防音工事

建物によっては、建物全体に防音工事を行うことなく、また防音室を作ったりしなくても、音漏れする箇所に対して部分的に防音対策を施すことで、かなりの防音効果を発揮する場合があります。防音工事によって弱い箇所を部分的に強化することが出来れば、その分コストも抑えられます。

壁の防音工事

壁の防音工事には、用途に合わせて様々な材料が使われています。外壁には、コンクリートやタイル張りなどの重量があって高い遮音性があるものが使われます。内壁にはグラスウールを入れ込み、石膏ボード、遮音パネル、吸音ボード、クロスの順番に貼っていくことで、高い遮音性能を発揮します。壁内部や仕上げに使用する遮音材には、コンクリート、鉛シート、ガラス、ガラスブロックなどの種類があります。また、音を吸収する吸音材には、グラスウール、ロックウール、石膏ボード、多孔質ボード類、有孔ボードなどが使われます。オーディオルームのように音や振動が通常より強い場所の場合は、ゴム、バネ、コルクなどを用いて、躯体に音や振動が伝わらないようにします。

床の防音工事

床の防音工事は主にマンションなどの集合住宅で行われる工事で、上下階に対する防音対策として施工されるものです。例えば、上階からの物音が気になるという場合は、上階にあたる部屋の床のコンクリートや工法が関係していると考えられます。これは、床のコンクリートや工法次第で遮音性能が変わってくるためです。マンションの床の工法には、直貼り工法と二重床工法があります。

■直貼り工法
コンクリートスラブの上に、クッション材の付いたフローリングを直貼りする工法

■二重床工法
コンクリートスラブとフローリングの間に緩衝材を入れて床を二重にする工法

直貼り工法の問題点は、コンクリートスラブの上に直にフローリングを貼っているため、足音が下の階に響きやすいという点です。そのため、最近のマンションでは二重床工法が主流となっています。二重床工法には、角材を均等に並べてその上に床を乗せる「根太床工法」、防振ゴムの付いた支持ボルトで床を支える「置き床工法」、断熱材の上にモルタルなどを打ってその上に床を乗せる「浮床工法」などの種類があります。この内、遮音性が最も高いのは浮床工法ですが、この工法は費用が高いため、最近では置き床工法を採用することが多くなっています。

二重床工方法は、人の声など空気伝播音に対しては高い防音効果がありますが、 床衝撃音など固体伝播音に対しては防音性能に問題があります。今までは、二重床工法の重量床衝撃音への防音性能は、直貼り工法と比べても優れていると言われていました。しかし、最近では、中空部のない一般スラブおよび中空部のあるボイドスラブのどちらの場合でも、子供が飛び跳ねる音などの重量衝撃音に対しては、必ずしも有効であるとは言えないことが分かってきたのです。重量衝撃音が支持脚の上で発生すると衝撃がダイレクトに床スラブに伝播すること、また、ボイド(中空部)で発生した場合は衝撃音(固体音)が共振することが懸念されています。

天井の防音工事

マンションなどで上階から発生する音を防ぐには、天井を二重天井にする必要があります。しかし、二重天井であるにも関わらず、大して防音効果を発揮しないケースが多く見られます。その理由ですが、遮音効果は音の種類や周波数によって違ってくるため、音の周波数に合わせた防音仕様になっていないからです。一般のマンションでは、天井がすべての周波数に遮音効果を発揮するようには施工されていません。上階から伝わる音には、スプーンなど軽い物を落とした時などに発生する軽量衝撃音と、子供が飛び跳ねた時などに発生する重量衝撃音があります。二重天井は軽量衝撃音には有効ですが、重量衝撃音に対しては寧ろ逆効果になってしまうのです。重量衝撃音の多くは100Hz以下の低周波および250Hz以下の音が主成分となっているため、特殊な防音仕様を施す必要があります。

ドアの防音工事

ドアのタイプは、一般的に開戸と引戸の2種類が代表的です。ドアの防音工事では、まずドアの周りの隙間を無くすことが前提となります。その上で、防音ドアを取り付けます。防音ドアにも色々なタイプがあり、ドア自体が防音機能を持っているものや、既存のドアの上に防音ドアを重ねて取り付けるもの、既存のドアに防音パネルを引っ掛けるものなどがあります。また、引戸に適した防音ドアもあり、このタイプには既存の引戸に必ず付いている段差やレール、溝などが無いため、隙間が生じにくいという特長があります。防音ドアの構造ですが、ドアの内側と外側の表面材の間に特殊ゴムや吸音材などが何層も挟み込まれています。防音ドアはデザインやバリエーションも豊富で、インテリア性の高い天然木調のものや、窓が付いているものなどもあります。窓は2重ガラス構造となっているため遮音性が高くなっています。

窓の防音工事

外部で発生する騒音は、窓から侵入することが最も多くなっています。単純に防音ガラスに交換すれば遮音出来るのかと言うと、それだけでは不十分なのです。窓はサッシとガラスによって構成されており、遮音性能を高めるためにはこの両方に工夫を施す必要があります。最近ではエアタイトサッシやセミエアタイトサッシといった機密性の高いサッシも登場していますが、ちょっとした騒音には効果があっても、高いレベルでの遮音となると大きな効果は期待出来ません。防音性能を向上させるためには、防音サッシの取り付けが必要となります。防音サッシは、遮音等級「T値」を基準にして選びます。T値は、等級なしからT4までのランクに分かれており、等級なしのサッシでは防音効果が全くありません。一般的なマンションに使われているT3のサッシであれば、等級なしのサッシに比べて騒音を約3分の1に減らすことが出来ます。ただし、防音サッシの取り付けには大がかりな工事が必要で費用も高くなります。また、防音対策として、二重サッシを取り付けるという方法もあります。二重サッシとは、文字通りサッシが二重になっている窓のことで、2枚のサッシ間に生じる空気層が温熱や防音効果を発揮します。

代表的な窓ガラスには、単板ガラス、合わせガラス、複層ガラスがあります。単板ガラスには、透明ガラス(フロートガラス)、型ガラス(クモリガラス)、網入りガラス・強化ガラスなどがあり、どれも似たような性能があり、厚みが増すほど遮音性が高くなります。合わせガラスは、板ガラスと板ガラスの間に透明なフィルムを挟ませたガラスのことで、挟んだフィルムによって共鳴を抑える効果があります。複層ガラス(ペアガラス)は、2枚のガラスの間に空気層が生じることで断熱効果を発揮します。また、2枚のガラスの厚みを変えることによって遮音性が向上します。ただし、空気層が特定の周波数の音と共振する特性があるため、音漏れが発生する場合もあります。高速道路や線路沿いのような激しい騒音が発生する場所に面した窓には、防音効果の高いガラスとサッシを組み合わせる方法が最も有効です。