タイルの種類
タイルには、外装、内装、床、階段などそれぞれの用途によって適した種類があります。
内装タイル
建物の内壁に使用するタイルで、人の目が届きやすい位置に用いるため、寸法精度の高い乾式成形の陶器質タイルが一般的に使われています。また、寒冷地では凍害防止用に磁器質やせっき質の内装タイルが使われることもあります。陶器質は吸水率が高いのが特徴ですが、この吸水性をカバーし、さらにはデザイン性を引き出すために、内装タイルには釉薬がかけられます。
釉薬には、ブライト(光沢)、セミマット(半光沢)、マット(つや消し)があり、表面の光沢によって使い分けられます。色の種類は白、クリーム色、肌色、水色といったパステル調のものや、原色系の鮮やかなものなど、バリエーション豊かな色数が揃っています。焼き物なので退色することもなく、非常に信頼性の高い建材となっています。
形状とサイズ
大きさや形は、以前は尺貫法による寸法が用いられていましたが、最近は施工のしやすさなどを重視してメートル法を採用したものが多くなっています。
標準形状 | 寸法(mm) |
25mm角 | 22.5×22.5 |
50mm角 | 50×50 |
100mm角 | 100×100 |
100mm角二丁 | 200×100 |
150mm角 | 150×150 |
200×100角 | 200×100 |
200mm角 | 200×200 |
250×200角 | 250×200 |
300mm角 | 300×300 |
外装タイル
建物の外壁に使用されるタイルで、強度が高く、耐候性および耐久性に優れた素地を用いることが求められます。これらの条件を満たし、さらに凍害防止などのため、外装には吸水率の低い磁器質またはせっ器質のタイルが用いられます。製法には湿式成形と乾式成形の2種類あり、湿式は表面や形状に自然な柔らかみがあり、クラフト感覚が豊かです。一方の乾式は寸法精度が非常に高いのが特長で、仕上がりも正確で落ち着いた印象を醸し出します。
外装タイルは、素地そのものが焼成温度や焼成方法(酸化・還元)によって発する色合いや、釉薬による呈色が非常に幅広くなっているのが特長です。その反面、焼き色や窯変の色幅、単体と集合面の風合いにムラが生じやすいというデメリットがありますので、その点には注意が必要です。
形状とサイズ
タイルの形状は、小口平、二丁掛などの外壁タイルと、50角・50角二丁などの外装モザイクタイルが主流となっています。また最近では、三丁掛以上の大形タイルや、山形や丸形の特殊形状タイル、表面を復古調のスクラッチ、 粗面、石面、波面にしたタイルも登場しています。
タイルの名称 | 寸法(mm) |
小口平 | 108×60 |
二丁掛 | 227×60 |
三丁掛 | 227×90 |
四丁掛 | 227×120 |
ニュー小口 | 94×54 |
100角 | 94×94 |
100角二丁掛 | 192×92 |
150角 | 144×144 |
200角 | 194×194 |
300角 | 294×294 |
ボーダー | 227×40 |
床タイル
床タイルは外装タイルと同様に、耐候性・耐久性に優れていること、吸水率が低いことが条件となりますが、それに加えて歩きやすく滑りにくいこと、摩耗性や衝撃性に優れていることも大きな条件となります。また、汚れにくく、掃除がしやすい建材を選ぶことも重要です。床タイルには磁器質やせっき質が適しています。
床タイルには無釉と施釉があります。無釉タイルは滑りにくく、摩耗による色の変化がないのが特長で、利用者の多い歩道や公共機関などで多用されています。これに対して施釉の床タイルは、色のバリエーションが豊富で、汚れにくく洗い流しやすいという特長があるため、住宅やお店などの床で使われることが多くなっています。また、耐酸性に優れていることから工場や化学プラントの床にも比較的多く採用されています。
形状とサイズ
床タイルの形状は、100mm角をはじめ、100mm角二丁、150mm角、200mm角、300mm角などが中心となっています。なお、寸法はメーカーごとにバラつきがあり、たとえば150mm角のものでも実寸法は144mmや140mmなどとなっている製品があります。
タイルの名称 | 寸法(mm) |
25角 | 24.5×24.5 |
50角 | 47×47 |
75角 | 69×69 |
100角 | 97.8×97.8 |
36角 | 109×109 |
150角 | 147.8×147.8 |
200×100角 | 197.8×97.8 |
200角 | 197.8×197.8 |
300×150角 | 194×144 |
300角 | 294×294 |
400角 | 400×400 |
モザイクタイル
モザイクタイルには外装用と内装用がありますが、分類上は平物の表面積が50cm2以下のものを指してモザイクタイルと呼びます。モザイクタイルは、施工しやすくするためにシート張りされたものを用いるのが一般的です。
外装モザイクタイルはおもにマンションなどの外壁に採用されることが多くなっています。また、形が小さく、水勾配を取る施工に適していることや、目地の滑り止め効果を期待出来ることから、内装では浴室やトイレの床に多く採用されています。また、最近では様々な種類やデザインのものが登場するようになり、水廻り以外の場所でも採用されることが多くなっています。
形状とサイズ
形状は50角と50角二丁のものが多用されていて、50mm角曲、50mm二丁曲、50mm二丁屏風曲などの役物タイルがあります。
標準形状 | 実寸法(mm) | 目地共寸法(mm) | ユニット目地共寸法(mm) |
50角 | 45×45 | 50×50 | 300×300 |
50角二丁 | 95×45 | 100×50 | 300×300 |
50角三丁 | 145×45 | 150×50 | 300×300 |
25角 | 22.5×22.5 | 25×25 | 300×300 |
33角 | 30.3×30.3 | 33×33 | 300×300 |
その他のタイル
テラコッタタイル
南欧では最も普及している素焼きタイルで、吸水率の高さが特徴です。吸水性が高い分だけ汚れやすい面もあるので、仕上げにシーラー剤やワックスを塗布するのが一般的です。
スクラッチタイル
押出成形の際に、針状の突起物で表面を引っかくようにして模様をつけたタイルのことです。湿式成形された無釉のタイルで、表面にささくれだった溝が刻まれているのが特徴です。おもに外装用として外壁に多用されています。
クリンカータイル
せっ器質を素材とするタイルで、吸湿性が低く、耐久性に優れています。施釉されたものと無釉のものがあり、表面に滑り止めのための模様がつけられているのが特徴です。おもに床タイルとして使用されています。